株主ならびに投資家の皆様へ
KDDI は「量的拡大」と
「質的向上」の両立により、
持続的成長を目指します。
2006 年度の業績と分析
∼ MNP の好調なスタート、 FTTH 事業統合等、
次なる成長ステージに向けた事業基盤整備が
前進∼
2006年度の連結業績は、営業収益が3兆3,353億円
(前期比9.0%増)、営業利益は初めて3,000億円を超え、 3,447億円(前期比16.2%増)と、4期連続の増収増益を 達成しました。2006年度の事業展開面でのポイントは 大きく2つです。ひとつは、移動通信事業における携帯電話 番号ポータビリティ(Mobile Number Portability: MNP) を通じた顧客基盤拡大、もうひとつは、固定通信事業での FTTH事業統合です。まず、移動通信事業では、MNPが 2006年10月24日に始まり、KDDIはこれにより順調に契約 数を伸ばすことができました。KDDIは従来からインフラ の強みを活かし、端末、料金、コンテンツの総合的な商品 力で差別化を図ってきましたが、この点をお客様に高く ご評価いただいたことが好調な結果につながったと思い ます。早期にシェア30%、3,000万契約を達成したいと、 かねがね述べてきましたが、その目標により近づくこと ができたと実感しています。固定通信事業では、「KDDI メタルプラス」が開通回線数目標をクリアし、2007年度 には当初の予定通り黒字化の見通しです。また、東京電力 株式会社のFTTH事業をKDDIに統合し、首都圏では自前の
インフラを利用しての事業展開が可能になりました。これ はブロードバンド化の到来を見据えた顧客基盤の拡大に 向けた布石のひとつです。2006年度を振り返ると、事業 展開及び業績面で概ね結果を出すことができ、次なる成長 ステージへ向けて着実に前進したと言えます。
事業環境について
∼通信市場の健全な成長に向けて∼
MNP開始後に、一部では価格競争の動きも見られまし たが、過度な価格競争に陥らないために、いかに非価格競 争力の向上を図るかというのがKDDIにとっての大きな 課題です。日本の通信業界では「新競争促進プログラム 2010」の下、2010年に向けてサービス競争の促進や公正 競争環境の整備に関する検討が行われています。例えば、
「モバイルビジネス研究会」では、移動通信市場における ビジネスモデルの検証が進められ、販売コミッション、 MVNO(Mobile Virtual Network Operator)等について 議論されています。また、「ネットワークの中立性に関す る懇談会」「ユニバーサルサービス制度の将来像に関する 研究会」等も開かれ、さらに、2010年にはNTTの組織問題 の検討も始まります。こうした状況下でも、私たちは業界 の環境変化をしっかり見極め、競争環境がどう変化しよ うと持続的な成長が可能な強固なKDDIを築いていくこ とが、株主の皆様をはじめとするあらゆるステークホル ダーのご期待に応えることだと考えています。
中期的目標「チャレンジ 2010 」
∼「 KDDI= 成長し続ける企業」とのメッセージ
を内外に発信∼
2006年度にはMNPの順調な滑り出し、FTTHの事業統 合等、今後の事業展開に向けある程度基盤を整えること
ができました。そこで今後のさらなる成長に向け、方向性 を示す時期が来たと考えました。また、「新競争促進プロ グラム2010」等により、今後予想される事業環境の変化 に対し、我々がしっかりと対応し、成長の方向性を見定め る必要性も感じていました。そこで、今般KDDIの中期的目 標「チャレンジ2010」を発表しました。これは、KDDIは常 にお客様、お取引先、従業員等のステークホルダーととも に、成長し続ける企業でありたいという強い意志を込め たメッセージと言えます。
2010年度の連結ベースでの数値的な目標として営業収 益4兆円、営業利益6,000億円を目指していますが、これ は、数値的なコミットメントというよりも、むしろKDDI グループが一丸となって進もうということでチャレンジ ングなターゲットとして設定しました。この「チャレンジ 2010」の達成には、制度環境、競合他社の動き等克服すべ きハードルも想定されますが、KDDIはあらゆるサービス において、お客様満足度No.1に挑戦し、「量的拡大」と「質的 向上」の両立による持続的な成長を目指していきたいと 考えています。「質的向上」なくして、「量的拡大」はあり得 ません。サービスの質や企業体質そのものを強化する必要 があります。技術力やサービス開発力、顧客対応力を含め お客様満足度を向上させ、さらに、経営の戦略性を磨き、 利益率の向上を図る等KDDIの企業体質を向上させること によって成長を支え、社会的な存続基盤を揺るぎないもの にするという意味です。この2つをしっかり両立させよう というのが、「チャレンジ2010」の最大の眼目です。
「チャレンジ2010」に向けての課題は、次の通りです。
移動通信事業での増収増益の堅持
まず、移動通信事業では、約3,000万の顧客基盤を活か し、通信をコアとしてその周辺にも事業ドメインを拡大
することで、一人当たりの売上の最大化を図ることが重要 です。これまでの目標の「シェア30%、3,000万契約」達成 も視野に入ってきました。契約数やシェアを伸ばすだけ でなく、それと同時に利益水準をきっちり守ることも重 要な要素です。増収増益を堅持するには、両者のバランス が大事だと考えています。
FTTH事業等ブロードバンドの推進と固定通信事業の 黒字化
固定通信事業、特に今後力を入れていくFTTH事業につ いては、株主・投資家の皆様には、少し長い目で見ていた だきたいと考えています。15年、20年前であれば長距離 電話等の中継系事業でも十分利益が出る構造でしたが、 技術革新、競争激化等により、収益改善は容易ではありま
せん。現状の中継系事業に留まれば、固定通信事業は縮小 均衡に陥らざるを得ません。今後固定通信事業の競争力 を高めていくには自らもアクセス網を保有し、独自の サービスを提供していくことが大切だと考えています。 その意味から今回東京電力株式会社のFTTH事業を統合し ました。当面固定通信事業の赤字は避けられませんが、 FTTH事業も一定レベルのお客様の数を獲得すれば、損益 分岐点に達し、その後は利益水準を押し上げることが出 来ると考えています。まずは、首都圏の提供エリアでシェア 30%を目指し、ここで確立したビジネスモデルを将来 他の地域にも展開する布石としていきたいと考えていま す。FTTH事業の推進にあたっては、魅力的なサービス展開 を行うとともに、徹底したコストダウンを実施すること が課題であり、2010年度にはFTTH事業を含め、固定通信 事業全体で黒字化を目指しています。
FMBCの展開と非通信事業ドメインの拡大
コンシューマ向けにFMBC(Fixed Mobile & Broadcast Convergence)サービスを立ち上げていくことも大きな 課題です。「ウルトラ3G」によるインフラ面での統合に先 立ち、コンテンツ・メディアを中核とした上位レイヤーに おけるサービス一本化が急務であると考え、この4月に コンシューマ事業統轄本部にコンテンツ・メディア事業 本部を統合しました。KDDIの強みである移動通信と固定 通信を1社で展開できる体制を活用し、お客様にご支持い ただけるサービスを提供していくことが大きなポイント となります。
この他、事業領域の拡大についても積極的に取り組み、 営業収益4兆円の目標のうち、5%程度は新規事業が貢献 できるように持っていきたいと考えています。2007年7月
より連結子会社とするJCNグループや2008年度半ばに 開業予定のモバイルネット銀行も、新しい事業領域の一翼 を担うものと考えています。
法人向けはI C Tをワンストップで提供するオール ラウンドプレイヤーへ発展
法人向け事業は今後一層重要性が増すと考えており、 コンシューマ向け事業に先駆けFMCを展開しています。 今後、ユニアデックス株式会社との包括提携に基づく宅 内ソリューション領域への進出や、SaaS(Software as a Service)によるアプリケーション提供等を推し進め、法人 のお客様にICT(Information and Communication Technology)をワンストップで提供できるオールラウン ドプレイヤーへの発展を目指します。
コーポレート・ガバナンスと経営の取り組み
∼トータル・カスタマー・サティスファクショ
ンを起点とした株主価値の向上∼
コーポレート・ガバナンスについては、内部統制への取 り組みを含め、なお一層の強化を図っていきます。昨年の お客様情報流出を真摯に受け止め、全社を挙げて様々な 再発防止に取り組んでいますが、基本的には従業員一人 ひとりの高いモラルに支えられることが重要であると 認識し、従業員教育に注力しています。またCSRの充実を ベ ース とし て 、お 客様 を はじ め、すべ ての ステ ー ク ホルダーの満足度を高めるTCS(トータル・カスタマー・ サティスファクション)活動を一層推進することにより、 企業の「質的向上」を図っていきます。
当社は株主の皆様への利益還元を経営の重要課題と考 えており、これまで順調に増配を行ってまいりました。今
後も株主還元は配当政策をその中心に置き、当面は持続 的な成長に向けた一定レベルの投資を維持しつつ、連結 配当性向20%以上を目標とした安定的な配当を継続して いきます。KDDIは「量的拡大」と「質的向上」のバランスの とれた成長により、株主の皆様、投資家の皆様のご期待に 応えていきます。今後ともご支援を賜りますよう、お願い 申し上げます。
2007年8月
代表取締役社長兼会長 小野寺正
主力事業であるコンシューマ系モバイル事業が引き続き連結業績を牽引し、固定通信事業も採算改善を目指す。
事業ポートフォリオのイメージ 現在
高
コンシューマ向け 売上高
伸長率
コンシューマ向け 固定通信事業
モバイル・ソリューション
2010年度
高
コンシューマ向け 売上高
伸長率
コンシューマ向け 固定通信事業
モバイル・ソリューション 新規事業
「チャレンジ 2010 」のコアメッセージ
■ あらゆるサービスにおけるお客様満足度 No.1 を目指す。
■「量的拡大」と「質的向上」の両立により、持続的成長を図る。
■ 2010 年度の目標(連結)
営業収益: 4 兆円、営業利益: 6,000 億円
モバイルでの増収・増益基調を堅持
• 顧客基盤と事業ドメインの拡大による売上高向上
FTTH 事業等ブロードバンドの推進と固定通信事業の黒字化
FMBC の展開と非通信事業ドメインの拡大
法人向けは ICT
※をワンストップで提供する
オールラウンドプレイヤーへ発展
※Information and Communication Technology